「グロスタイムかネットタイムか」についての私見を考えてみた
とあるSNSのタイムラインを見ていたら、マラソンなどに参加していると思われる市民ランナーによる「グロスタイムかネットタイムか」みたいな議論がありました。
自分も私見を書いてみようかなと思ったのですが、SNS上で簡潔に書き込む自信がなく長文になりそうなので(苦笑)、ココに書くことにしました。
「グロス」タイムと「ネット」タイム
そもそも「グロスタイムとネットタイムって、何だ?」ですね。
簡単に言うと、こんな感じかと。
グロスタイム…スタートの号砲(よーいドン)から計測開始。フィニッシュライン通過で計測終了
ネットタイム…その人がスタートラインを通過した時から計測開始。フィニッシュライン通過で計測終了
最前列からスタートすれば「グロスタイム=ネットタイム」ですが、後方からのスタートになるほどグロスタイムとネットタイムの乖離が大きくなります。
先日の東京マラソンで私は「D」ブロックからのスタートでしたが、グロスとネットの差は5分5秒でした。去年は「E」ブロックからのスタートで、差は9分34秒ありました。
(もっと後方からスタートしたランナーは、当然もっと差があったことでしょう)
で、このどっちのタイムを「記録」として認識するべきか、というのが議論となっていました。
それぞれの論拠
グロスタイムを「記録」とすべきとする論拠は、日本陸連がグロスタイムを「公認記録」として取り扱っている点にあります(ネットタイムは「参考記録」の扱い)。
「グロスタイムが「公認」記録なんだから、そりゃグロスタイムだろう」ということです。
実際、エリートランナー向けのいわゆる「エリート枠」などは公認記録(=グロスタイム)が基準となりますし、上位選手の順位や記録もグロスタイムが基準です。
一方、ネットタイムを記録とすべきとする論拠は、(主に市民ランナーの)スタート位置によるタイムラグ(差)にあるでしょう。
スタート位置は、あらかじめ割り当てられたブロック内に限られますし、その中で早く並んだ順になるのが通常です。
誰もが最前列からスタートできるわけではありませんし、スタート前のトイレ渋滞にハマればブロック内でも後方からのスタートになります。
ほとんどのレースでは、エリートランナーが最前ブロックとなり、市民ランナーはおおむねタイムの速い順にブロックが割り振られます。
なので、そんなに速くない市民ランナー(私も含む)は必然的にグロスとネットで差が出ます。1分前後の差なら万々歳です。
「それでもグロスじゃなきゃダメなの?」ということです。
グロスとネットで10分、あるいはそれ以上の差があってもグロスじゃなきゃダメなのか?それはどうなのよ?という話です。
私が思うこと(あくまで私見)
正直「どっちが正しい/間違っている」というものではないと思っています。
日本陸連が定めた公認記録がグロスタイムなのだから、日本陸連に申告したり届け出るタイムは当然グロスタイムになるでしょう。そこに異論はないです。
しかし……しかしです。
俺は日本陸連登録選手じゃな~~い!!!
「エリート枠」とか無関係だゼーーーット!!(笑)
最前列あるいは最前のブロックからスタートできるならまだしも、大きなレースでそんなことがない大半の市民ランナーがグロスしか認められないのならば、スタート前から数分~のハンデを背負っていることになります。
そりゃないでしょう。
走る距離だって、後方からスタートする分ハンデが出ます。
東京マラソンで最後方からスタートしたランナーは、42.195kmプラス1km以上走っているのでは?
時間にすると何分だろう?
渋滞もするので30分ぐらい(?)の人もいるでしょう。
以上より、個人的にはこんなふうに思っています。
・陸連登録ランナーはグロスタイム。そうじゃない人はネットタイムでもいい
・一番前のスタートブロック(Aブロックなど)だったらグロスタイム。Bブロック以降の後方ブロックのランナーはネットタイムでもいい
・他人と競っているランナーはグロスタイム。他人ではなく自分と戦っているランナーはネットタイムでもいい
・順位を争うランナーはグロスタイム。目標時間や自己ベストに挑戦しているランナーはネットタイムでもいい
こんな感じでいいのではないでしょうか?
グロスタイムが唯一絶対の基準としてしまうと、スタートブロックのズルやスタートの列への割り込みなどのトラブルが発生する可能性も高まると思います。
そんな走り以外のことで余計な力や神経を使うのは本末転倒だと思います。
私自身について書くと、ブログやプロフィールに書いているタイムはネットタイムです。
タイムで他人にマウントをとるつもりはないし、レースではあくまで「過去の自分」や「自分の限界」と勝負しています。
それでも「いやいや、公認記録はあくまでもグロスタイムだろう!」と主張してくる人がいたら、
「勝手に言ってろ。こっちはお前と競う気はないし、そもそもお前の記録にこれっぽっちも関心ないわ!」
と言います(笑)。