「GKのGOAT」引退。デビュー戦からリアルタイムで見られてよかった

サッカー

ジャンルイジ・ブッフォンが引退表明をしました。

その前日に「引退へ」という形で報道されていたので、引退表明そのものには「ああ、やっぱり引退するんだ」という感じでしたが、ブッフォン引退と知って思うのは「残念」とかそういうことよりも

「現役時代を最初から最後まで見られてよかった」

ということです。

 

 

GKのGOAT

忘れもしない、ブッフォンのデビュー戦。
1995年(だったかな?)のパルマ-ミランでした。

 

当時のパルマ正GKルカ・ブッチがケガをして、背番号12のブッフォンがスタメン出場。
実況アナウンサーが「17歳です」と言っていて、

 

「マジ?大丈夫?」

 

と思ったものでした。
このシーズン、ミランはセリエAで優勝しましたし。

 

それがそれが、パルマDF陣も奮闘していましたが、ブッフォンもミランの決定機を好セーブするなどして完封。

「マジ?大丈夫?」から「やるじゃん!ブッチよりいけるかも!」に評価が一変しました。

 

それからも10代とは思えない安定感と、10代らしいアクロバティックなセービングで大活躍して、すぐにパルマの正GKに。
イタリア代表の第3GKだったブッチからポジションを奪ったのだから、それだけでも驚異でした。

 

98年にはワールドカップ フランス大会で第3GKとしてメンバー入り。
出場はなかったけれど、「20歳でイタリア代表メンバー、しかもGK」というのは驚きでした。

 

以降の活躍は割愛します(長くなるので…(^^;))。

 

17歳のデビューから、キャリアの大半を第一線で、世界トップクラスの一人としてプレーし続けて、40歳を過ぎても極端な衰えがなかったのはブッフォンだけでしょう。

サッカーの歴史の中で「レジェンド」と言えるGKはたくさんいるし、「全盛時はブッフォンより上だった」という評価のGKもいると思います。
でも、「全盛時」という感じの期間がほとんどなく、しかも数年~10年、15年ぐらいではなく20年以上も安定して世界トップクラスだったのはブッフォンしかいないのでは。

 

GKにとって極めて大事な資質である安定感。
これを20年以上保ちつづけたのはブッフォンしかいないでしょう。

なので、私はブッフォンこそが「GKのGOAT(Greatest Of All Time)」だと思っています。

 

好きなエピソード

ブッフォンにはいろいろなエピソードがありますが(国家斉唱の時に一生懸命歌うとか、好セーブをすると自らガッツポーズして味方を鼓舞するとか)、個人的に好きなのは2006年ワールドカップ ドイツ大会でのことです。

 

グループリーグ最終戦のチェコ戦。
当時のユーべのチームメイトだったネドベドがいて、ネドベドを中心にチェコは決勝トーナメント進出を懸けて猛攻を仕掛けていました。
ネドベド自身が鋭いミドルシュートを放つなどして、ブッフォンが懸命にセーブしていたのですが、この時ブッフォンはずっとネドベドに向かって

 

「どうした!もっとどんどん打ってこんかい!」

 

みたいなことを言っていたそうです(笑)。

ワールドカップのGL突破が懸かった大事な一戦で、そんな煽りをするっていうのがもう…(苦笑)。

 

この大会は、最終的にはアメリカ戦のオウンゴールと決勝戦のジダンのPK以外に失点なし。
DF陣もカンナヴァーロ、ネスタ、マテラッツィ、グロッソ、ザンブロッタと充実していましたが、ブッフォンが随所に見せるファインセーブが印象的でした。

 

「残念」はない

ブッフォン引退と知って、私には「残念」と思う気持ちは全然ありません。

17歳から45歳まで第一線でプレーし続けたのだから、「残念」ではなくむしろ「Auguri!」とか「Congratulazioni!」とか「Complimenti!」がふさわしいなと(どれも「おめでとう」という意味)。

 

とにかくあっぱれです。

同時に、「GKのGOAT」のキャリアを最初から最後までリアルタイムで見られてよかったなと思います。

 

そして、これからまたすごいGKが出てくることを期待したいです。

イタリア代表を応援する一人としては、ジャンルイジ・ドンナルンマがもう一皮剥けて名実ともに世界ナンバーワンと言える存在になってほしいなと思っています。