カーフキックの次は三角絞めブーム?それはないと思う

MMA

おとといのRIZIN28は、久しぶりに見ごたえのある試合が多かったです。
一番衝撃的だったのが三角絞めで勝負が決まった2試合でした。

2試合とも超一流の柔術家によるもの。

年末のRIZINではカーフキックが強烈なインパクトを残し、1月のUFCでもコナー・マクレガーがカーフキックを効かされて負けたことで「カーフキックやばいぞ!」みたいなブームになりそうな感じが漂っていたので、そのカーフキックと同様に今度は「三角絞めやばいぞ!」みたいな三角絞めブームが来るかな、とも一瞬思ったのですが、それは来ないだろうと思っています。

 

 

印象的だった右腕によるフォロー

断っておきますが、私はMMAシロウトです(笑)。
UFCが始まった1993年からMMAはたくさん見てきていますが、自分自身がMMAで戦うことに真剣に取り組んだことはありません。

 

ただ、昔から見てきた中で、おとといのRIZINの三角絞めは「MMA用にアップデートされたもの」 だと感じました。

印象的だったのは、2人(ホベルト・サトシ・ソウザ、クレベル・コイケ両選手)とも足をフックして三角絞めの体勢になると、すぐに右腕で相手の左ヒザ裏(太もも裏)を抱えるようにキャッチしていたことです。

これで相手は足の自由がきかなくなるので、踏ん張って引っこ抜いたりバスターをすることができなくなります(=逃げにくくなります)。

一連の動きを無駄なく素早くやっていたからこそ完璧に極まったのだと思いました。

 

これ、ちょっと前の柔術出身の選手はやっていなかったはずです。
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラも、ファブリシオ・ヴェウドゥムも、ビビアーノ・フェルナンデスも、ディアス兄弟も。

だから、ヒカルド・アローナはPRIDEでクイントン・ランペイジ・ジャクソンにパワーボムされたし、カーロス・ニュートンもUFCでマット・ヒューズに叩きつけられてしまったのだと思います。

数年前に見た試合では、クロン・グレイシーが三角絞めの体勢から持ち上げられた後に右腕で相手の左ひざ裏をキャッチしていたのですが、さすがに極めきれていませんでした。

 

三角絞めの体勢になると、両腕は相手の頭を押さえてガッチリ極めようとする方に行ってしまうことが多いですが、おとといの2人はすぐに右腕によるフォロー(相手を立たせない)をしていたのが素晴らしいなと思いました。

これから対戦する選手が同じようなシチュエーションになった時にどう対応するのか、というのも今後の注目ポイントの一つだと思いました。

 

三角絞めは簡単じゃない

話を本題に戻すと、三角絞めはカーフキックと違って難易度が高いです。
カーフキックはローキックを更に低く蹴るイメージで思い切りよく蹴れば、うまくヒットする可能性がありますが、三角絞めはそう簡単には極めることができない技です。
上手じゃない人が仕掛けても、相手に「あっ、三角来る!」と悟られてディフェンスされるでしょう。

相手が来ると分かっていてもサトシ選手とクレベル選手がスムーズに極めているのは、ガードポジションから三角絞めに行く練習を何度も何度も(数百回程度のレベルではきかないくらい)やっているからだと思っています。

ガードからの対応は、三角以外にも技や返し方がたくさん(挙げきれないくらい)あり、三角絞めをあんなに素早く無駄なくできる選手というのは、MMA選手の中でもほんの一握りなはずだし、ちょっとやそっとの練習ではあそこまで見事にはできないでしょう。
クレベル選手が三角絞めでのフィニッシュを「オートマチック」という表現でコメントしていたそうですが、そのぐらい自然にパパッと動けるぐらい反復練習をしているからこそなのだと思いました。

 

でも分かったこと

三角絞めがMMAでブームになることはないかな、と思いますけど、

「本当に強いグラップラーはまだMMAでバシバシ極めることができるんだな」

とは思いました。
もちろん打撃を含むスタンドでのスキルも持ち合わせていることが前提になりますけど、相手が「三角くる! 」と分かっていても極めにいって本当に極めてしまうところに「職人の凄み」のようなものを感じます。

 

近々、ギ(道着)なしグラップリング最強のゴードン・ライアンがMMAに挑戦するかもしれないので楽しみです。
一流のグラップラーでもMMAに上手くハマる選手とハマらない選手がいるのでどうなるか分からないですが、ライアンのMMAはすごく見てみたいです。