あれから30年。甦る1990年ワールドカップ イタリア大会の記憶【その4】
先週からの続き。
今回は4位になったイングランドを。
ベテランと若手のバランスがよかったイングランド
この大会で、イングランドはベスト4まで勝ち進みました。
ただ、「勢いに乗って勝ち進んだ」というよりも「力を出し切って競り勝った」というイメージがあります。
ベテランと若手のバランスがうまくとれたチームでした。
ベテランを挙げると、GKシルトン、DFブッチャー、MFワドル、ロブソン、スティーブン、ホッジ、ベアズリー、FWリネカー、バーンズあたり。前回大会からのメンバーです(特にシルトンは御年40歳で正GKでした)。
若手の筆頭は、デビッド・プラットとポール・ガスコイン。
プラットはイタリアのスキラッチと同様、「確変」的な要素もあったかもしれないけど(笑)、リネカーが相手DFを引き寄せてできたスペースにしっかり動いてゴールに結びつけていたのが素晴らしかったです。
ガスコインは面白い選手でした。キープ力があって、パスセンスも抜群。おまけに感情を表に出して熱い。いずれイングランドを背負って立つ選手になるだろうと思っていました。
正直、グループリーグでは全く注目していませんでした。
オランダが同組にいたので、そっちに注目していました(苦笑)。
気になったのは、決勝トーナメントのベルギー戦からです。
プラットの決勝ゴールは、ボレー自体はたまたま上手く当たったのかもしれないけれど(笑)、空いたスペースに走りこんでボールをもらった動きは秀逸でした。
その後の試合でも、リネカーがDFを引き付けてできたスペースにポジションをとる動きが何度も見られたので、あの得点で覚醒したのかも、と思いました。
もう一人、イングランドで印象的だったのはリネカーでした。
特に、準々決勝カメルーン戦と準決勝西ドイツ戦では光っていました。
カメルーン戦は2本のPKを決めていましたけど、相手GKはヌコノだったし、1本目の方は「失敗したら敗退確定」ともいえるPKだったので、よく決めたなぁと。
西ドイツ戦の同点ゴールは、アウゲンターラーとコーラーにマークされていたのに、たまたま2人がもたついてできたチャンスをしっかり決めたのがさすがでした。
リネカーはワールドカップでは本当にすごかった。決定力抜群。
ワールドカップでの活躍を見ると、Jリーグは黒歴史で間違いないでしょう(笑)。
残念だったのは、GKかなぁ。
シルトンは素晴らしいGKだったのは間違いなく、当時は代表キャップ数が世界最多ぐらいだったかと。
ただ、「40歳で正GK」というのは、若くて優秀なGKがいなかったということ。シルトンを凌ぐGKがいてほしかった…。
シルトン、この大会では前への飛び出しの良さはさすがでしたけど、準決勝と3位決定戦の失点は「大ベテランだったがゆえ」に感じました。
(この点、なんとなく2002年大会のシーマンもダブります…)
全体として、この大会のイングランドは強かったです。優勝した西ドイツが一番苦戦した相手だったのではないかと。
この後、28年後までイングランドがベスト4以上に進むことがないとは、当時は思いもしませんでした……。
まだもうちょい続きます。