GSP引退。「MMAの歴史を10年早めた」と本当に思う
GSPことジョルジュ・サンピエール(Georges St.Pierre)が現役引退するようです。
マット・ヒューズを圧倒したあたりから注目して好きになったMMA選手。
引退は残念です。
MMAでの総合的な完成度とフィジカルは卓越していて、かつてデイナ・ホワイトさんが彼を評して
「MMAの歴史を10年早めた」
とコメントしたそうですが、本当にMMAの進化を早めた選手だと思っています。
「打・投・極」全局面対応。文字通りの「コンプリート・ファイター」
GSPはバックボーンは空手(極真空手)ながら、UFCでのホイス・グレイシーの影響で若い頃から柔術も学んでいて、胸には「柔術」のタトゥーを入れています。
極真出身なのに「柔術」というのがアレですが(笑)。
同時にレスリングもやっていて、MMAではデビュー時からスタンドでも組み付かれてもグラウンドでも対応できる選手でした。
「GSPの試合を見ただけでは、バックボーンが分からないんじゃないか?」っていうぐらい、全局面で優れていました
当時のMMA選手はどこか一つに「穴」というか苦手なところがあるものでしたが(例えばマット・ヒューズはスタンドでの打撃はイマイチだったし、BJペンも組まれた時は後手に回っていた)、GSPはそんなに穴らしい穴がなかったなぁと。
「コンプリート・ファイター(Complete Fighter)」という呼び名に最もふさわしい選手だと今でも思っています。
しかも試合を重ねる毎に打撃がキレキレになり、タックルも的確になり、グラウンドのポジション取りも上手くなり、さらにフィジカルで相手を上回っていて、試合を見るのが楽しい選手でした。
極め切ることができず判定決着になることが多かったけれど、試合では随所に見せ場があり、相手を圧倒しての判定勝ちだったので、合を「しょっぱい」と思うことはありませんでした。
特に、スタンドでスーパーマンパンチや後ろ回し蹴りなどの大技を繰り出したかと思うと、ドンピシャのタイミングでタックルに入ってテイクダウンしたり、グラウンドで上のポジションからパスガードをしたりと、選手目線で
「スゲーなぁ…」
と感嘆していました。
選手じゃないのに(苦笑)。
フィジカルやバランスの良さ、カッコよさに憧れる
GSPはMMAの試合も見応えがありましたが、フィジカルのトレーニングや普段の佇まいもカッコいいなと感じる選手でした。
フィジカルのトレーニングに体操を取り入れているようで、いわゆる体操の床や吊り輪、平行棒、跳馬などの練習もしているようでした(Facebookのページでよく見かけます)。
実をいうと、私が自重トレーニングを始めたきっかけの一つがGSPのトレーニングに感化されたことだったりします(笑)。
試合後の記者会見では常にスーツでキメているし、試合前に試合会場に向かう時もスーツ姿なところが特徴的でした。
マイケル・ジョーダンが現役当時そんな感じでしたが、MMAファイターでは他になかなかいないのでは?
自分はスーツはそんなに着たくないけれど(苦笑)、ビシッとキメている姿は男ながらカッコいいなと思っていました。
そういえば、一時期ボウズ頭にしたことがあったけど、それもGSPの影響でした(笑)。
敢えて例えるなら…
GSPはファイターとしては立って良し、組んで良し、寝て良し。
おまけに品行方正で紳士的でカッコよく、ダメ出しするところがありません。
そんな感じなので、敢えて分かりやすく例えるとするなら
「MMA界の出木杉くん」
だなぁと思っています(笑)。
ジャイアンやゴリライモみたいな選手が多いMMA界では珍しい選手でした。
もしも我が子がもう少し大きくなって
「格闘技をやりたい!」
と言い出したら、GSPのビデオを見せて学ばせるでしょう。
今のところ、その可能性は見えませんが……(笑)