マラソンで2時間1分台の世界新記録!で思った6つのこと
一昨日の2018ベルリンマラソンで、エリウド・キプチョゲが2:01:39という、とてつもない世界新記録をたたき出しました。
それまでの世界記録は、デニス・キメットが同じベルリンマラソンで4年前に出した2:02:57。
1分半近い記録更新です。
キメットが初めて2時間3分を切った時に
「2時間2分台の更新は近い将来ありそうだけど、2時間2分を切るのは10年ぐらい先だろうな」
なんて思っていたけれど、わずか4年で実現されました(苦笑)。
驚異的だったので、早速レースの動画を見ました。
(スタートからのフル動画がなかったので、ハーフ過ぎからのやつ)
「これは!!」と思ったことが6コありました。
1.キプチョゲ、終始独走だった!
多くのレースでは、25km~30kmぐらいまでペースランナーが先頭集団を引っ張って、ペースランナーがあらかじめ決められた距離まで走って退いた後に「本当の先頭争い」が始まります。
今回もペースランナーが速いペースで引っ張って、キプチョゲ以外にも数人がそれに付いていって、30km過ぎからキプチョゲがグワ~ッと一気にペースを上げて……っていう展開だったのかな、と思っていました。
全然違っていました。
スプリットタイムを見たら、5km地点ですでにキプチョゲが2位以下の集団から9秒ぐらい差をつけていました。
どうやら世界記録ペースで引っ張るペースランナーに並走したのがキプチョゲただ一人だったようです。
キプチョゲは世界記録しか見ておらず、他の選手は「いやいや、世界記録はさすがに…」と考えていたのでしょうか。
終始独走というのも珍しいなと思いました。
しかも、キプチョゲのペースランナーは30kmまで引っ張る予定だったのに、25kmあたりでキプチョゲに置き去りにされていました。
ペースランナーも、2時間4分台の自己ベストを持っているらしいのに……(汗)
ペースランナーを置き去りにしてからの残り17kmも、たった一人で速いペースで走りつづけたキプチョゲは、ただただすごいです。
2.世界記録が生まれるレースはベルリンしかない!?
ベルリンマラソンは高速コースとして有名で、今回に限らず過去の世界記録もベルリンで生まれています。
マラソン歴代記録を見てみたら、2時間4分を切った記録は16ありましたが、うち11はベルリンマラソンで出た記録。
考えてみたら、10年前に”皇帝”ハイレ・ゲブレセラシエが人類初の2時間4分切りをした時から、「世界記録更新!」のニュースが出るのは、決まってベルリンマラソンでした。
やっぱりベルリンのコース設定と気候が、エリートランナーにとってベストに近いのでしょう。
余談ですが、2時間4分切りの記録は16ありましたが、2時間3分切りは今回で2つ目です。
3.更なる記録更新に必要なこと
2時間1分台に更新されたことで、
「2時間切りも夢じゃない!」
というコメントや記事も見ます。
私も同感で、「自分が生きているうちに実現するかも」と思うようになりました。
ただ、条件もありそうです。
コースや天候、ランナーのコンディションもそうですが、それに加えてペースランナーをどうにかしないと…っていう。
今回、2時間4分台の記録を持つ実力者が、ペースランナーとしてレース途中まで引っ張っていました。
が、30kmまで引っ張る予定だったのに、25kmでキプチョゲに千切られたということは、ペースランナーも世界トップレベルでないとダメなのかなぁと。
いや、今回のペースランナーも世界トップレベルなはずですが(苦笑)。
これからは、15kmとか20kmあたりでペースランナーを交代するようにするとか、そういうのが必要かも、と思いました。
去年の「Breaking2」の時も、ペースランナーを交代制にしてハイペースを維持していたし。
4.距離に置き換えると差は大きい…
日本記録(2:06:11)との差は、4分32秒になりました。
「4分32秒」という時間だとパッとしないかもしれないですが、ランナー距離に置き換えると1.5km超の差ではないかと。
日本記録ペースで快調に走って40km地点を過ぎた頃、キプチョゲはすでにゴールが見えている状況です……
世界との差が一層広がった感じがします。
(世界記録が一気に1分以上更新されたので当然ですが)
マラソンでは記録よりも勝負が大事なレースも多いですが、気候(暑すぎるとか寒すぎるとか)を味方につけるなど実力以外の要素がないと、日本人ランナーが世界トップクラスのランナーに勝つのはますます難しそうだなと思います。
東京マラソンを見ていても、ケニア・エチオピア勢のアタックはめちゃめちゃ速いし。
近くで見ると、ダッシュしているような速さです(笑)。
5.スパッツ
マラソンのエリートランナーのほとんどは、スリーブレスのシャツにショートパンツ姿で走っています。
寒い日のレースでは、アームカバーやニット帽を着けて走るランナーもいますが、シャツとパンツは基本的にみんな同じ感じです(色や柄、メーカーはいろいろ)。
今回のキプチョゲはショートパンツではなく、ショートスパッツでした。
タイトフィットのウェアを着てレースで走るトップランナーをほとんど見かけないので、「おおっ!」と珍しさを感じました。
そういえば、去年の「Breaking2」でもキプチョゲはショートスパッツでした。
ランナーによって好みや合う・合わないがあるのでしょうけど、ショートスパッツもアリなんだなと。
自分も好んでショートスパッツを使用しているので、ちょっとうれしい(笑)。
6.厚底シューズが主流になるかも
キプチョゲはナイキの厚底シューズを履いています。
今回、「ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット」を使用していたとか。
日本のナイキ公式サイトで見かけて、価格を見て「おおっ!」と思ったけれど(笑)、すでに売り切れていました。
キプチョゲに限らず、ナイキ契約ランナーは最新の厚底シューズを履いて好記録を出しているし、日本人のトップクラスの選手でもナイキのシューズを多く見かけるようになりました。
東京マラソンでもナイキのシェアが増えている印象があったし、私も買ったし(笑)、これからは厚底シューズがマラソンの主流になりそうだなぁと思っています。
実際履いてみて「長い距離はこっちの方がいいかも」という感触があったので、同じように感じているランナーが多いのかもしれません。
走るのも楽しいけど、見るのも面白い
マラソンは、自分が走るのも楽しいと常々思っていますが、見るのも面白く感じています。
自分が走るようになったからなのかもしれないです。
エリートランナーの速さや凄さ、走っているランナーの苦しさや達成感を体感するようになったので。
これからも「記録への挑戦」や「世界トップレベルの激戦」といったレースには注目したいです。