アイアンマン世界選手権2017。トライアスロンで「ゲルマン魂」を見た
昨日はハワイ島コナでアイアンマン世界選手権2017が行われました。
毎年恒例のライブ配信観戦をバイクの途中から上位選手のフィニッシュまでしました。
今年はハワイ島に旅行したので、
「ああ、あそこだ!」
と、見覚えのあるコースを見てエキサイトしましたが(笑)、それだけでなくレースそのものにも感動というか、強い刺激をもらいました。
久しぶりに「ゲルマン魂」を見て。
パトリック・ランゲの驚異のランとコースレコード
優勝したのは、ドイツのパトリック・ランゲ(Parrick Lange)という選手でした。
去年の大会でランの最速タイム(2:39:45)を出して3位に入賞していたのですが、今回はトップに立って映像をよく見ることができたので、そのすごさを一層感じました。
ランを開始した時点でトップとは5分以上の差があったものの、ペースを落とさず走りつづけて、スタートから7時間44分経過したとき(ゴールの約17分前)にようやくトップになり、そのままフィニッシュまで走り抜きました。
周りの選手もかなり苦しい表情で走っていた中、ランゲは終始表情を変えず力強い走りでした。
結果、最後のフルマラソンで2:39:59と、去年に続いて2時間40分を切り、さらにトータル8:01:40のコースレコードで優勝しました。
それまでの記録はクレイグ・アレキサンダーの2011年の8:03:56だったので、2分以上の更新です。
実際にハワイ島で朝10kmちょっと(×3回)走った経験からは、朝ちょっと走るだけでも暑くて紫外線が強くてなかなかキツイです。
あの気候の中、3.8kmのスイムと180kmのバイクの後にすぐ、昼の時間帯のフルマラソンを走って2時間40分を切るというのは、とんでもない記録です(汗)。改めて。
5分以上遅れてのスタートでも(本人にとっては「射程圏内」だったのかもしれない…)あきらめずに心を折らずに走りつづけて最終的にトップになったところは、観ていてさすがに
「おおぉ!」
とエキサイトしました。
ヤン・フロデノに感動
前回チャンピオン、というか2連覇中だったヤン・フロデノは3連覇がかかっていました。
レース前にドキュメンタリー的な映像をFacebookやYouTubeで見ていたので、「おお!スリーピート(※)を狙ってるな!」ということで(笑)今回一番注目していました。
(※「スリーピート」とは、3連覇のこと。「3(three)」と「repeat」をかけ合わせた意味。パット・ライリーさんがLAレイカーズのHC時代に作った言葉。米国ではパット・ライリーさんの会社が商標登録しているらしい)
バイクを終えた時点でトップと3分弱の差の4位だったので、「ランで逆転できるかも」と思っていたのですが、ランの前半でスローダウン。どこかを痛めたのか、歩き出してストレッチをしたり、立ち止まったりして辛そうでした。
当然前方の選手との差は開くし、後続だった選手には次々と抜かれるし、この時点でスリーピートは不可能になりました。
狙っていた優勝ができない、カラダもキツイ、さらに今後のレースのことを考えれば、リタイアしても良かったと思います。
そういう選手も過去にたくさんいたし、それも一つの決断だと思っていました。
でも、フロデノはリタイアはせず、途中で歩いたりしながらも最後まで走りつづけていました。
結局、35位で完走。
歩いたり立ち止まったりして、最後のフルマラソンは4時間1分ほどでした。
3時間を切らないと上位に入れないトッププロの世界なら、4時間というのは「そこまで無理しなくても…」という感じじゃないかと思いますが、それでも最後まで走り切ったところは、ただただ感動でした。
「おおおお!!」っていう心を揺さぶられる感覚。
急激に走りたい衝動に駆られるというか。
外は雨だったし、娘の空手大会の応援があったので走らなかったけど(苦笑)
「ゲルマン魂」はアイアンマンで見られる…かも
以前、「ゲルマン魂」はサッカーでは死語だということを書きました。
サッカーでは強くなったこと(と、先制されるとそのまま負けることが多くなったこと)で「ゲルマン魂」が感じられないのは今も変わらないですが、「ゲルマン魂」は今はアイアンマンの世界にあるんだなぁと感じました。
アイアンマン世界選手権では、
2014年 セバスティアン・キーンレ
2015年 ヤン・フロデノ
2016年 ヤン・フロデノ
2017年 パトリック・ランゲ
と、ドイツ勢が4連覇中です。
こういう長丁場の精神力がカギとなるレースには、ドイツ人の心の底に眠っている(?)「ゲルマン魂」が力を発揮するのかなぁ、なんて思います。
今回のレースを見て強い刺激をもらいました。
11月のフルマラソンでは
「タイムがどんなに厳しくなっても絶対に完走だけはあきらめないぜ!」
っていう気持ちになりました。
ドイツ勢に限らず、昨日のレースで激走(プラス激泳・激バイク)したアスリートにはただただ尊敬です。レースで勝負するだけでも素晴らしい!
毎年そう思ってますが、改めて。